【鉄道オタクが分析】JRのグリーン車には代金分の価値があるか?

乗ってよかったグリーン車・あまり意味のないグリーン車

 


去る2月18日、私は岡山発・出雲市行きの特急「やくも9号」に乗車した。グリーン車の最前列は前から流れる景色を運転台越しに楽しむことに配慮した車両で「パノラマグリーン席」と呼ばれている。この列車を最後に、私はJR各線で運行されている全てのグリーン車に乗車したことになったようだ。
「SLばんえつ物語」のグリーン車だけは動画を作ったことがないはずであるが、それ以外は北から南まで、在来線も新幹線も、皇室用車両も全部グリーン車と書いてあるものには乗った。それを受け、グリーン車に対する全般的な感想をお伝えしたい。

まず、乗ってよかったグリーン車を紹介するが、これはJR東日本の首都圏で運行されている普通列車グリーン車、これに尽きる。通勤時間帯の地獄の混雑を回避する唯一の手段である。グリーン料金を払って快適性を買っているというより、グリーン料金780円(50キロまで)で基本的人権を購入している気分になる。もしあなたが大混雑区間で40分間移動するのにグリーン車を使わないという場合、「地獄の普通車に詰め込まれる」労働の時給は1170円である。通勤地獄の時給がたったの1170円?グリーン車に乗ることを選択するべきなのは明白である。

他にもJRには素晴らしいグリーン車が様々搭載されているのだが、所詮は椅子であることに注意するべきである。乗り物に乗るとなると人はとても座席の快適性に敏感になりがちである。しかし、小中高と使い続けたであろう木とパイプでできた机や椅子を思い浮かべて頂きたいのだが、私たちはあの貧相な座席に毎日6時間ぐらい座り続けていたのだ。それと比べ、少々座席の質が良くなることに対して、1時間当たり2000円だの3000円だのという大金を払うべきなのかよく考える必要がある。私も大学生であり、横浜国立大学の教室にグリーン席はない。混雑している授業では、他の学生と相席をするし、両側を見知らぬ学生に挟まれた状態で90分間の授業を受けることも頻繁にある。それを不満に思ったことは一度もない。その一方で、たかだか豊橋まで「ひかり」号60分の移動で、グリーン車に4000円以上支払うのは馬鹿げているのではないかと思えてきた。そして次第に、実はグリーン車と普通車の違いは大してないのだということに気づいてきた。先日、新幹線で東京から鹿児島中央までを普通車で乗りとおした。グリーン車など使わなくても十分なのではないかと考え、普通車で行ってみることにした。結果は予想通りであった。途中の博多での乗り継ぎは僅か6分で、ほぼ休憩なしの7時間だったが、何も疲れることなどなかった。
昔はグリーン車の価値も高かったと思う。
例えば、新幹線が新大阪どまりの時代、大阪から鳥取の米子まで、7時間も8時間もかけて走る急行列車に乗ったとする。急行の普通車は向かい合わせのボックスシート。相席した人と足をぶつけないか心配しながらの旅は疲れるものだ。グリーン車ならそんな心配もなく、前後の間隔が広々したリクライニングシート。何も気にする必要はない。これなら乗る価値もあるだろう。しかし今の普通車は快適になりすぎた。
岡山発・米子経由出雲市行きの「やくも」を見てほしい。


普通車の座席間隔は広く、足元も改善され「ゆったりやくも」が当たり前のように走っている。この「やくも」はかなり揺れる車両なのだが、少なくとも座席は申し分ない。東海道新幹線N700系の普通車も最高の座り心地である。別にこれ以上良くしなくたって……。今の素晴らしい普通車は、グリーン車の存在意義を失わせようとさえしているのではないか。たった数時間座るだけの座席なんか、何でもいいのではないか?そこまでこだわる必要あるのか?東海道新幹線のグリーン車に乗ると、おしぼりの提供やゴミ回収、経済誌のプレゼントなどを受けることができる。ホームを下りる階段もすぐ近くにある。でもそれを加味してもやっぱり、グリーン車に4000円も5000円も使うのなら、寿司でも食べに行った方が多くの人にとって有意義ではないか?

それでもグリーン車に乗る理由

では、未だに私がグリーン車に乗る理由は主に4つある。
①空いているから。②電源の確保のため。③特別で楽しいから。④動画のネタになるからである。

①グリーン車は比較的空いている

東京→新大阪間で「のぞみ」に乗車し、自分の並びの席に誰も座らないことは稀である。この隣の席に人がいると困る場合はグリーン車に乗ることが望ましい。東海道のグリーン車は空いていて、隣に人が座ることは少ない。絶対に来ないわけではないが、隣人に気を遣わず動き回れるのは快適だし、何より便利である。私は今、全日空機(新石垣空港→福岡空港)普通席でこの記事を書いているのだが、それは上の棚にうっかり動画データをいれたHDDを置いてしまい、取り出せないからである。眠っている相席の人に「上の棚に載せた荷物を取り出したいから一旦起きて通路へ出ろ」と要求することはあまりに忍びない。もし隣に誰も居なければ取り出していたであろう。私は新幹線に乗りながら作業をしているとき、頻繁にリュックサックの中身が必要になる。そのとき網棚に置いた荷物を取り出せなければ作業に支障をきたす。この作業の遅れは時には深夜に持ち越され、眠る時間を短縮しなければならなくなる。隣に誰もいないグリーン車の座席であれば、足元にでもリュックサックを転がしておけばいいので気は楽だし、実際に何度もリュックサックの中身を取り出したり、仕舞ったりしているから便利である。

②電源を確保するため

JRの一部の列車には、普通車では電源コンセントを備えないが、グリーン車には備わっているというものがある。


例えば東日本の「いなほ」やJR北海道のほぼ全ての列車がそうである。「サンダーバード」など、普通車全席へのコンセント設置はなされておらず、車両端部のビジネス席のみ設置というパターンもある。グリーン車では、普通車よりも概ねコンセント状況は良好で、ひとつひとつの座席にコンセントが備わっている場合も多い。電源代にいくら払うかの価値感は人によるが、パソコンや複数台のビデオカメラ、携帯電話などを持ち歩いている私にはうってつけのサービスで、便利に利用させてもらっている。

③グリーン車は楽しい?

グリーン車には変わり種もあって、快適だとか空いているということの他にも単に楽しいからグリーン車を利用する場合もあるだろう。東京ディズニーランドは一般的にグリーン車よりも混雑していると考えられるが、高額な入園料を支払う人で人気である。JR四国で運行されている「瀬戸大橋アンパンマントロッコ」用車両はグリーン車扱いで、おそらくグリーン車の座席としては最低レベルと思われる。

 


座席はファミレスの4人掛け席程度の造りでしかないが、文句を言う人はいない。これはトロッコの乗車代金を便宜的にグリーン料金として徴収しているという側面があるからである。私も乗ったことがあるが大変すばらしい列車であった。冒頭で紹介した「パノラマグリーン席」も山間部を高速で駆け抜けていく特急電車の迫力を味わうことができ、2時間があっと言う間に過ぎたし、スーパービュー踊り子号のグリーン車では、ドリンクサービスやカレーライスの販売(現在は廃止)など特別な旅気分を味わうことができる。鉄道が好きなのであれば「あの車両のグリーン車はどのようになっているのだろう。乗ってみたい。」という感覚は、乗車の動機として十分なのではないか。旅を楽しくするための3000円、4000円と考えれば、積極的に支払うべきという判断も十分可能である。

④グリーン車はウケがいい

最後に、グリーン車は珍しいからウケが良いという鉄道YouTuberならではの事情もある。私もそうだったが、多くの人は通常グリーン車など使わないのである。私が熱心に説明したことは、実はもう既にほとんどの人に理解されていて、彼らは適切な価値判断のもとに利用しないという判断を下している。その興味に応えるのが私のつとめであるから、積極的に利用することは私にとって合理的である。ただし、ウケがいいというのは何もYouTube動画制作者だけが覚えるべきことではないだろう。グリーン車に乗ったことのない人と旅をする際、特別感を演出するにはうってつけである。例えば、両親の銀婚式祝いに温泉旅行をプレゼントするなら、座席はグリーン車がいいだろう。大事なお客を新幹線で呼び寄せるときは、グリーン車の切符を買って送り、相手を大事にしていると訴えるべきである。ガールフレンドとデートするとき、格好つけたい場合もグリーン車は有効かもしれないが、生憎私にその手のアドバイスは不可能であるから、閲覧者の実験報告を待つことにする。

28 件のコメント

  • 普通車とグリーン車を比べられるくらい、まずは鉄道旅を沢山してみたいとつくづく思いました。

  • ガールフレンドを持つ私の経験では、グリーン車や特急を使うと喜ばれる。混雑を回避でき、座れ、何より隣にいられることが大きいからである。普段は乗らないため特別感の演出にも繋がる。スーツさんにガールフレンドが出来た時は是非利用することを強く勧める。また、行きと帰りで利用する列車を変更したり、帰りに乗る列車の方のグレードを高くするのも効果的である。

  • グリーン車もいろいろあるんですね
    新幹線しか利用したことないので乗ってみたいと思いました
    私がグリーン車に乗る理由は旅で非日常を味わえるからです

  • 飛行機のファーストクラスには搭乗した事は無いが、ビジネスとグリーンと比べて、飛行機の上のクラスは確かに洗練されたサービスで豪華な印象があり、差別化されている。一方、東海道新幹線のグリーンなどは豪華さや差別化とうよりは、JR側が演出せずともグリーンに乗車されるべき方々が乗られ、落ち着いた上品さがあり、そこには静かな時間が流れている様に思います。
    注(飛行機のシステムや航空会社の顧客の差別化を否定するものではない。)

  • そうですね ‼︎
    両親へのプレゼント、グリーン車で温泉旅行なんって素敵!最高!特別感ありますね!
    四季島プレゼントしたいものです。
    スーツさん四季島に乗られるんですよね。
    動画 すごーく楽しみにしています。
    行けない所、体験出来ない事を紹介してもらい嬉しいです。有難うございます。

  • ガールフレンドに宇都宮線の2階建グリーン車に案内して、そのへんで売ってるお酒で乾杯。庶民派18きっぷの旅に彩りを添えることに成功した上、居酒屋より安上がりなんだなぁ。

  • むかし、とあるところで「九州ではグリーン車に乗ろう」と言っている人がいました。
    その言葉を信じて、行橋から博多までソニックのグリーン車に乗りました。
    すいていて良かったです。

  • グリーン車…憧れの車両です。指定席に関しては何の躊躇もなく購入しますが、グリーン車となると一般人(少なくとも私)は清水の舞台から飛び降りる勢いが必要かもしれない(笑)
    しかしながら、話のネタに乗車してみたいものだし、付加価値としては申し分ないでしょう。
    一般人には経験し難いことであるからこそ、スーツ君が動画でグリーン車乗車をやってのける行為は疑似体験となり、そしてグリーン車乗車への希望、更に実現に繋がるのではないかと思います。

  • 「リンゴちゃん@スーツ ブログ」から此処に辿りつきました!

    <気になった点>
    「乗ってよかったグリーン車を紹介」内にある…強制収容所行きの「ユダヤ人運搬列車」の表現にチョッと引っかかりました!
    「運搬列車」では(スーツ君に悪意はないと信じますが…)人を物扱いしている感じがするので、「ユダヤ人(強制)移送列車」にした方が良いのでは?っと感じました!

    本文の「グリーン車について」から「かけ離れた点」ですが、ひとまず感じた点を書かせて頂きました。以上

  • たぶん映画や文献で登場するビルケナウ収容所へ貨物列車で運ばれるユダヤ人の様子のことを言いたいのだと思うので、「運搬列車という表現自体」は間違っていないと思います。

    ただし、彼らは「戻れることのない場所へ強制的に連れて行かれた」のであり、「生活の糧を得るために自発的にまたは連帯的に通勤する人々」と比較するのはちょっと不用意過ぎるのではないかと思います。

    別に私は不謹慎警察を気取るつもりはありません。
    ユダヤ人の方々とはなんの縁もありませんし。

    スーツさんがたとえ話のつもりで持ちだしたであろう史実はあまりに重すぎ、このお話の流れにつりあっていないと思うのです。

  • 今、スーツさんが最も有用と言われている、東京近郊普通列車グリーン車に乗っています。
    蘇我から横浜まで。
    ふと思いましたが、京葉線は、今の10両のまま、真ん中2両にグリーン車を組み込むのもいいのではないかと。中央線快速ですらグリーン車を入れるのですから。

  • 新幹線では指定席、とこれまで潜在意識レベルで乗っていました。しかし、時期によっては指定席も自由席並みに激混みの時があります。つけまつげでハエを殺せそうな令嬢や、スーパーコンピュータを激しく叩く紳士などいると、指定席も末期にかんじていたものです。そこでグリーン車に乗ってみました。精神的苦痛から逃れ、ゆとりの世界。もうあの解放感を知ると戻れなくなりました。自分にとってはグリーン車はグリーンカードの意味レベルです。

  • こんにちは。
    ブログの本旨とは異なるコメントをするのは恐縮ですが、動画・ブログのリクエストをさせていただきます。

    是非とも平成のうちに、欲を言えば4月25日に福知山線脱線事故の現場を訪ね、その様子をレポートしていただきたいです。平成最悪の鉄道事故である福知山線脱線事故。鉄道系YouTuberの中で最も権威のあると言っても過言ではないあなたが現場を見学し、コメントを発信して欲しいのです。

    こんなことをしても犠牲になった方の供養になるとは思いませんが、鉄道利用者として、鉄道好きとして事故を風化させてはいけないと思います。
    平成が終わる今だからこそ、ぜひ貴方にやってもらいたいです。

    安易なコメントかもしれませんが、よろしくお願いします。

  • 快速はまゆりの指定席の盛岡ー花巻はいつも空いていて快適です。前後の普通列車や快速の自由席は混雑するので、早い時間から並ぶ必要がある他、窮屈な思い割り引きするので指定席券は、とても有用です。グリーン車ではなくて申し訳ありません。

  • 昔の急行列車の普通車とグリーン車の居住性は雲泥の差でしたね。JRになってから、急行列車はなくなり、新車やリニューアルによって、新幹線や特急列車の普通車の快適さは格段に向上しました。
    私の乏しい乗車経験からして、新幹線のグリーン車、681.683系のグリーン車以外はグリーン券代を投資するつもりはありませんが、内田百閒さんが書かれているように、グリーン車に乗る金があればグリーン車に乗り、その分を普通車しか乗れない人のために普通車を空けるという考え方もありだと思います。

  • 普通列車のグリーン車でのメリットの一つに、堂々と弁当とか飯が食えるというのがあります。
    忙しい時の移動で、このために自腹切って利用することもあります。
    この場合、グリーン車で飯食う時間を買う感覚になります。

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